BMWグループは、完全電動化の新時代を迎える「Neue Klasse」に向けて、次世代高電圧バッテリーの生産ネットワークを大幅に拡大しています。「ローカル・フォー・ローカル」を原則とし、生産拠点を3大陸にわたって5カ所に設置する計画です。
この記事のポイント
・BMWグループが次世代高電圧バッテリーの生産ネットワークをグローバルに拡大する計画
・「ローカル・フォー・ローカル」戦略に基づく生産拠点設置の重要性
・具体的な生産拠点の場所とその設置計画(ドイツ、ハンガリー、中国、メキシコ、アメリカ)
・Neue Klasse車両の初期生産計画とその進捗状況
次世代高電圧バッテリー生産拠点の拡大
・「ローカル・フォー・ローカル」の戦略
・新しい生産施設の設置場所
「ローカル・フォー・ローカル」の戦略
BMWグループの生産担当取締役であるミラン・ネデリコヴィッチ氏は、「我々は次世代高電圧バッテリーを生産するために、3大陸に5つの施設を設置します」と説明しています。バッテリー生産と車両生産を緊密に連携させることが、BMWグループの戦略の一環です。これにより、生産のレジリエンスが向上し、予期せぬ政治的・経済的なイベントが発生しても生産が継続できます。
新しい生産施設の設置場所
新世代の高電圧バッテリーは、バイエルン州イールバッハ=シュトラスキルヒェン(ドイツ)、デブレツェン(ハンガリー)、ウッドラフ(米国スパータンバーグ工場近郊)、瀋陽(中国)、およびサンルイス・ポトシ(メキシコ)に設置される最新鋭の組立工場で製造されます。これにより、バッテリーと車両の工場間の移動距離が短縮され、車の生産におけるカーボンフットプリントが削減されます。
各地域での具体的な展開
・デブレツェン工場での初期生産
・バイエルン州での高電圧バッテリー生産
・瀋陽での生産開始
・メキシコでの生産拡大
・スパータンバーグ工場向けのウッドラフ工場
デブレツェン工場での初期生産
Neue Klasseの初の車両は、2025年にハンガリーのデブレツェン工場で生産が開始されます。高電圧バッテリーと車両の製造が並行して行われます。デブレツェンでは、2023年秋からトレーニングセンターが稼働しており、2024年2月からコミュニケーションセンターも使用されています。多くの従業員が既に現地で働いており、スムーズな生産開始に向けて準備が進められています。
バイエルン州での高電圧バッテリー生産
Neue Klasseモデル向けの高電圧バッテリーは、ドイツのバイエルン州イールバッハ=シュトラスキルヒェンでも製造されます。新しい施設は、2024年4月に建設許可が下り、2024年6月末には生産ホールの最初の柱が建てられました。年末までには建物の外装と屋根が完成する予定です。
瀋陽での生産開始
2026年からは、中国の瀋陽でもNeue Klasse車両が製造されます。ここでも、車両に必要な第6世代高電圧バッテリーが現地生産されます。瀋陽の生産ホールは、わずか21か月の建設期間を経て2023年11月に完成し、2024年3月から設備の設置が進行中です。
メキシコでの生産拡大
メキシコのサンルイス・ポトシでは、Neue Klasseの量産に向けた追加生産能力が2027年から設けられます。2024年5月に新しい高電圧バッテリー組立工場の建設が開始され、完成時には80,000平方メートルを超える生産スペースを誇ります。
スパータンバーグ工場向けのウッドラフ工場
サウスカロライナ州のウッドラフでは、スパータンバーグ工場向けの高電圧バッテリーが製造されます。ウッドラフ工場は、2026年の完成を目指しており、敷地面積は約93ヘクタールに及びます。ここでは、300以上の新しい雇用が創出されます。
プロトタイプバッテリーの生産
・ミュンヘンとパルスドルフでのバッテリー開発
ミュンヘンとパルスドルフでのバッテリー開発
2025年に発売されるNeue Klasseに搭載されるプロトタイプバッテリーセルは、ミュンヘン近郊のパルスドルフにあるBMWグループのセル製造コンピテンスセンター(CMCC)で既に製造されています。CMCCは、北ミュンヘンに位置するバッテリーセル・コンピテンスセンター(BCCC)を補完する形で建設されました。
「Neue Klasse」に向けに向けたBMWグループの次世代高電圧バッテリー生産戦略 総括
BMWグループは、次世代高電圧バッテリーの生産拠点をグローバルに展開し、「ローカル・フォー・ローカル」戦略を推進しています。この取り組みにより、生産のレジリエンスが向上し、カーボンフットプリントの削減や地域経済の活性化にも貢献しています。Neue Klasseの成功は、これらの生産拠点の強固な連携に支えられています。